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ヒアルロン酸(hyaluronic acid) 山口県立総合医療センター 渋田 秀美 昨今,化粧品や美肌追求商品に「ヒアルロン酸配合」との文字を目にすることが多くなった。その保湿性や保水性により,肌に潤いを持たせ若々しく保つことができるそうである。 「ヒアルロン酸」は 1934 年米国の Karl Meyer と John Palmer が,牛の眼の硝子体より発見したムコ多糖類であり,このとき硝子体を意味する Hyaloid と,この物質に多く含まれる Uronic acid(ウロン酸)をくっつけ,便宜上「hyaluronic acid」と命名した。その後の研究により,人体の各組織に存在し,皮膚,関節液,臍帯,軟骨などで濃度が高いことも解明された。 「保水性」により細胞間に多くの水分を蓄え,「弾力性」によりクッションの働きをし,「粘性」により潤滑剤の働きをしている。病理・細胞診検査の部門では,体腔の表面を覆う中皮細胞がヒアルロン酸を産生するなどの事実から,体腔液中の異常高値は,悪性中皮腫の存在を疑う一つの指標として知られている。1950 年代後半からは医薬品として応用され,現在でも関節機能改善剤,眼科手術補助剤,点眼剤,創傷治癒剤として使用されている。 また,関節液や皮膚に含まれるヒアルロン酸量は加齢と共に減少し,0〜20歳を100%とすると,30歳までに70%,50歳までに40%,60歳では25%になり,このことが関節痛や皮膚の老化を引き起こす一因といわれている。 美肌追求ブームの中,空気の乾燥する冬に向かう今後,「ヒアルロン酸」の文字を目にする機会がさらに増えそうである。 (会報JAMT 2005年11月号掲載) |
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